先日、久しぶりにテレビで「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」を見ました。
今は赤江珠緒さん、三船美佳さんがメインで、女性だけで乗り継ぎ旅にトライしているんですね。
進め方がそつなく、以前の太川陽介さん・蛭子能収さんや、田中要次さん・羽田圭介さんの時とまた違った感じで面白かったです。
さて、その一方で最近「バスの運転士不足が深刻になっていて、全国でバスの減便・廃止が相次いでいる」というニュースをよく目にします。
さらに「働き方改革関連法」がバス業界に適用される2024年春から、より減便・廃止が進むことが予想されています。
そうなると、ローカル路線バスの乗り継ぎ自体が難しくなって、赤江さん達の歩く距離が増えるか、番組が成り立たなくなってしまうかもしれません。
自分も、地方の温泉宿に向かうときは、基本的にマイカーではなく、電車やバスのお世話になっています。
特に、地方の駅から山奥の温泉地に向かうローカル路線バスは、それがないとその温泉地に行けないので、必要不可欠な存在。
このままだと、そういう「駅から離れた温泉地に行くバス」がなくなってしまいかねません。
今後どうなるのか。答えは見えませんが、ここ最近で思うことをつらつら書いてみるわけです。
公設民営、運賃低減、補助金とか
多くのローカル路線バスは赤字経営で、地元自治体からの補助金で支えられているといいます。
2023年に、新潟県のバス会社が一部の路線を休止する、というニュースが出ました。
対象になっている路線の内、魚沼市の「湯之谷温泉郷」に向かうバスは、自分の温泉旅でも何度か利用したことがあり、少し心配していました。
その後、地元自治体が支援するので当面はバスの運行を継続する、という結果になったというニュースも見ました。
自治体は、補助金以外でも地元のバスに対して様々な関わり方をしているようです。
例えば、長野県上田市の「運賃低減バス」。市内を走るバスの運賃を値下げして、利用者数を増やそうという試みです。
新幹線の通る上田駅から、山のほうにある鹿教湯温泉(かけゆおんせん)へも、路線バスが出ており、これまでに何度も利用したことがあります。
以前は、上田駅から鹿教湯温泉までは1,250円かかっていましたが、今は500円で行くことができます。
自分は県外からの旅行者なのであまり頻繁に貢献はできませんが、少なくとも、自分がバスに乗っているときは、地元の方の利用が多いなとは感じました。
ただ、上田駅と鹿教湯温泉とを結ぶバスも、運転士不足で減便になったり、所要時間が短いルートの便が一部廃止になったりと、状況としては厳しいです。
市街地の先に「松本の奥座敷」浅間温泉や美ケ原温泉があり、松本駅からは路線バスが出ています。
これまでは、民間のバス会社が路線バスを運行していたのですが、2023年より、公設民営の「ぐるっとまつもとバス」に変わったそうです。
「公設民営」って何だろう・・・と調べてみると、自治体が路線や運賃を決め、バスの運行は民間の会社が担う、というコンセプトのよう。
バス会社は小さなところも多く、1つの町に複数の会社が様々な路線を走らせていることも多いです。
確かに、いざ知らない町でバスに乗ろうとすると、系統とか乗り場とか、結構複雑で難しいですよね。
松本市の場合、それを行政が一本化して整理しつつ、運行そのものはバス会社に委託する、ということのようです。
一本化、という意味では、2018年に栃木県でバス会社の合併がありました。各地でバス会社の合併も徐々に出てくるかもしれませんね。
キャッシュレス進行中
首都圏では、バスの運賃はICカードで支払うのがメインになっています。
車内にあるカードリーダーにICカードをタッチするだけでいいので便利ですが、地方ではまだICカードが導入されていないところも多いです。
そう、紙の整理券を取って、整理券番号と料金表を見比べて、所定の金額を現金で払う、という感じ。
恥ずかしながら、久しぶりにICカード非対応のバスに乗ると、運賃を払うときに少しもたついてしまいます・・・
両替機に列ができたり、降りるときに並んだり。そういうのが懐かしくもありましたが、最近は地方でも徐々にキャッシュレスで乗れるバスが増えてきました。
例えば北関東では、2020年代になって独自のICカードが導入されました。2021年に栃木県で「totra(トトラ)」、2022年に群馬県で「nolbe(ノルベ)」。
名前は違うものの、Suica等の交通系ICカードと同じように利用できます。
普段使っているICカードがそのまま使えるのは便利ですし、現金や紙の回数券の管理の手間が減るので、お客さんにもバス会社にもメリットがありそうです。
余談ですが、首都圏でICカードでバスに乗れるようになるまでは、プリペイドのバスカードがありました。
群馬県では、ICカードが普及するまで、このバスカードが現役でした。懐かしいです。
長野県ではまだSuica等で乗れないバスもありますが、先ほど紹介した松本市や上田市では、ICカードではなく、独自のQRコード決済でバスに乗れるようになっています。
地元に住んでいなくても、スマートフォンにアプリを入れれば利用できるようなので、今度利用してみたいと思っています。
宿の送迎サービス
駅と温泉地とを結ぶ路線バスがある一方で、温泉宿がお客さんを最寄りの駅やバス停まで送迎するサービスは以前からあります。
バスの運転士不足問題があり、今後路線バスが減便、廃止となってくる場合、そんな宿の送迎サービスがより貴重になりそう。
と言っても、宿も送迎する余裕がないことだってあります。特に少人数で経営している小さな宿はなおさらです。
以前、平日しかバスが走っていない温泉地の宿を週末に予約したところ、宿から「家族経営なので送迎できません、ごめんなさい」と連絡をいただいたことがあります。
その時は予約をキャンセルし、同じ温泉地で送迎して下さる宿を予約しました。
今後は、個々の宿で送迎をするのではなく、温泉地全体で送迎サービスをするケースが出てくるのではないかと予想しています。
運転士不足問題が出てくる前から、群馬県の老神温泉(おいがみおんせん)では「じゃおう号」という送迎バスを走らせています。
事前に予約をすれば、新幹線の駅から宿まで無料で送迎してくれるサービスのようです。
「のようです」と書いたのは、この「じゃおう号」を利用できるのは、老神温泉の一部の宿に泊まった場合に限られるから。
あいにく、これまで自分が老神温泉で泊まったことのある宿は「じゃおう号」が利用できる宿ではなかったのでした。
老神温泉へは路線バスが走っているので、「じゃおう号」がなくても路線バスに乗れば、温泉まで行くことができます。
ただ、路線バスの状況によっては、この「じゃおう号」みたいなサービスもこれから増えてくるのではないかと思われます。
話は脱線しますが、老神温泉近辺を走るバスでは、宅急便の荷物を載せていることがあります。足りないのはバスの運転士だけではない。。
ということで
この国のあちこちで人手不足が問題になっているような気がしますが、バス会社も同じくです。
近い将来「電車とバスだけで行けなくなった温泉地」が出てくるかもしれません。
お気に入りの温泉地がそうなってしまうと大変なので、自分が行くときはローカル路線バスに乗るようにしますが、まだまだ解決策は見えていないです。
旅に出かけていない間は、地方のバスがどのような取り組みをしているのかを見ています。
とある地域で改善された例が、他の地域に共有されたりして横展開していけば、少しずつでも良くなっていくのかもしれませんが、残された時間も少ないですよね・・・
結論はないのですが、今思っていること、知っていることをざざーっと書いてみました。
問題提起とか、意見とかを書いているわけではなく、自分の備忘録みたいなものなので、本館の温泉ブログではなく、別館のこっちでアップしてみます。
ちなみに、最初は「だ・である調」で書いていたのですが、暗い感じになってしまったので「です・ます調」で書き直しました。(どうでもいい話です)
それでは、またいずれ。